1998-07/10(金)~07/20(月)-千葉ロケ7 闇の恐怖が心を蝕む。。。。。犬丸

犬丸画像
7月18日(土):

本編中、犬丸(いぬまる)という人間がでてくるのですが、設定として目も口も縫い込まれてしまっていて鼻しか機能しないようにされた人間という事で、まあネタバレ的に描くと楓牙を少し暗示した存在なわけです。

 

そういう意味もあって(人が足りないからというのも大いにあったのですが)犬丸の役は楓牙役のケン(高村)が演じています。

 

ところが、この犬丸のメークというのが予想より本当に面倒で大変でした。

 

僕は所詮造形のプロではなくて、色々と勝手に既製品のメーク用品を使って造形をしているので、いちいちが試行錯誤の連続で、うまくいくときは良いですけどなかなか問題の解決策が見つからない時もあります。

 

犬丸に使用した製品は上手く人の肌になじまないというか、一生懸命作ってもすぐに剥がれたりしてイライラするし、僕の手が作業で塞がると現場の全てがストップしてしまうのでモタモタした感じになって現場の雰囲気が重くダルくなるし、何一つ良い事が無かったのです。

 

タバコの火をつけてもらう犬丸の画像

タバコをくわえさせてもらって火をつけてもらっている高村

 

更に悪いことに犬丸にはもっと致命的な欠点があることがわかりました。笑

 

メイクするのに何時間もかかって大変というのもあるんですけど、この役は実際に目を塞がれてメイクされてしまう上、一度メイクを剥がすと付け直すのにまた何時間もかかるという欠点がありまして、そのため高村は犬丸を演じている日は、朝から下手をすると夕方まで全くメイク(目)を剥がす事無く、全然目が見えない状態で丸1日中森の中に滞在していました。

 

通常、目の見えない障害者の方が身の回りにいれば非常に気を使って世話をやくかと思いますけれど、撮影現場は撮影最優先で事が進んでいくので少なくとも僕に関しては撮影があるときは完全に他の役者さんや次のシーンに意識がいってしまって、目の見えていない高村(犬丸)の存在をほぼ忘れて放置してしまっていました。

 

自分で自由に食べたり飲んだりもできずに、周りの状況もわからないまま森の中に放置されるというのは想像以上にキツイようです。

 

※「楓牙」に関しては8ミリフィルム撮影の上、現場にはキャストがスタッフも兼ねているので余分な人員がおらず、とてもじゃないけどメイキングビデオを回しているような余裕は無かったので撮影現場の動画というのが全くありません。ところがこの日は「犬丸使いの女たち」の役で女性陣が3人来ていたので珍しくビデオが現場で回っていました。
次の動画は非常に短いですが多分唯一のカラービデオの現場の動画です。一瞬だけ犬丸の大変さが滲み出ています。笑

 

そういえば、人間を狂わすくらいのリンチの方法として「暗闇に監禁して、毎日水滴をポタポタと不定期のリズムでたらし続けるだけで人間は気が狂う」的な話を昔読んだことがありました。

 

小雨の降る森の中で犬丸を演じるのはまさにそんな感じだったかもしれません。

 

撮影後半頃のケンは心を闇に包まれてしまいつつあるように少しやばい感じになっていました。

 

あぶない、あぶない。

犬丸メーク後の高村画像

無事に撮影が終了し闇から心が解き放たれる