1998-07/10(金)~07/20(月)-千葉ロケ6 オフ日 「フィルムを見る」という恐怖!

毎日車の往復の運転・出演・スタッフと休む間もなくクタクタのマルとキム。運転席と助手席で熟睡中。
7月16日(木)・17日(金): オフ日
先週までの長野ロケで僕もマル(丸島)やキム(木村くん)などロケ参加したメンバーがクタクタに疲れているのと、天気予報が大雨になった事と、メイク時間の短縮を工夫して考えないと無駄が多すぎて撮影が進まないという問題と、どうも現場の雰囲気が重くて良くないのと、何よりこの日に
「ここまで撮影した大量のフィルムの現像が仕上がる」
という事で思い切って2日間をオフとしました。
「出来上がったラッシュフィルムを見る」
(※ちなみに「ラッシュフィルム」というのは、まだ編集していない現像から戻った状態のままのフィルムの事です)
この感覚は多分今の若い人にはあまり想像できないと思います。
今は携帯やスマホ、デジカメで撮影した画像・映像はその場ですぐにきれいに見れますし、撮影に失敗したと思ったらその場で(容量が許す限り)好きなだけ撮り放題なのですから。
ところが、(8ミリ)フィルムとなるとそうはいきません。
◆8ミリフィルム:
まず8ミリフィルムというのは、1本のフィルムを買うのに約1000円したんですが、それで約3分間しか撮影できません。しかも「撮り直し」ができないので失敗も含めて3分だけです。
※撮影するスピードが可変で「18コマ/秒」と「24コマ/秒」の2種類が一般的です。
技術的な事なのでわかりづらいかもしれませんが1秒間に多くのコマで撮影する方が動きがなめらかに写って編集もしやすいです。
特にアクションを撮影するのであればコマ数が多い方が良いので18コマより24コマ/秒で撮影する方が理想的なのですが、撮影スピードが速いという事は1本のフィルムを早く撮り終わってしまうという事なので同じ時間の撮影するのに「フィルムがすぐ無くなる」=「たくさん必要」となりその分お金がかかります。
我々は貧乏だったので楓牙ではケチって18コマ/秒で撮影していました。
ちなみにビデオ関連は一般的には30コマ/秒で撮影していて通常は30コマではなくて30フレームと呼んでいますね。
これを超高速(フィルムだと100コマとか200コマ/秒など)で撮影して普通の速度で映写したものが、いわゆる「スローモーション」になるわけです。
8ミリは撮影可能な時間が短い上に、撮影現場でどういう風に撮れているか全く確認できないので、結果を見る為には
「フィルムをカメラ屋さんに現像に出して(これに800円位またお金が必要)」
「現像ができて映写機にかけて」
これでようやく初めて見れるのです。
だから撮影した結果を見るまで10日ほどかかるし、もしかして思ったようにそれが写ってない可能性だって十分あるのです!!
例えば今回の僕の場合、仕事を丸々1カ月お休みをとって(その為に1カ月無職で暮らせるだけの貯金を貯めて)、役者やスタッフにも同様に無理してお休みを合わせてもらって、長野まで皆でギュウギュウの車に乗り込んで出かけて1週間宿泊して、朝から晩まで走ったり濡れたり汚い所や虫だらけの場所でずっと撮影して、色々と大変な思いをしてもらった挙句に「フィルムに何も映ってなかった!!!」って事が起こり得るんですよ。
※実際に自分の体験として、フィルムの撮影口に小さなゴミが入り込んでいる事に気付かずにフィルムを何本も撮影して泣いた事があります。

ちょっとカメラがありえない構造で描かれていますが(笑)レンズとフィルムの関係は大体こんな感じ。笑

こういうところが実にアナログです。実際に僕は大学時代に撮影していた「桃太郎」という作品でこのミスを犯してしまって1週間の撮影分のフィルムに全部真っ黒なゴミの影が写っていた事があります。初歩的なミスですが死にたくなります。
※8ミリフィルムやカメラに関しての詳しいサイトというのが意外にまだ沢山あるんですね。 今後いつまで残っているかわかりませんがご興味のある方は覗いてみてください。 http://www.mediajoy.com/mjc/movie_club/8mm/index.html http://www.h4.dion.ne.jp/~s8mmeiga/index.html
◆「出来上がったラッシュフィルムを見る」
思った通りにできてるだろうか?
面白い風にちゃんとなってるだろうか?
という楽しいドキドキは良いですけど、失敗したときにほかの全員に言い訳のしようがないプレッシャーと恐怖というのは多分大掛かりに撮影をした人でないとわからないかもですね。
上述したように8ミリだとこの段階で初めて自分が大失敗していた事に気が付いて、これまでの撮影を全部やり直ししなくてはならない!という事態になり得るわけです・・・!
ものすごく怖い日でした。
でも、出来上がったフィルムを全部ビデオで撮影しながら見てみて(なぜビデオ撮影しながら見るのか?理由はまた後で書きます)きちんと問題なく写っていたのと、ラッシュフィルムを頭の中で編集して想像してみたときに、
「よし!ちゃんと面白い!」
と思えたので、落ちていたテンションが上がりました。