1998-06/26(金)~07/08(水)-長野ロケ10 神との遭遇

実際に撮影したカットのアングルがこれです。
7月8日:
長野ラスト。
バンガローを出て東京への帰りがけに途中の山でついでに撮影できるシーンがありました。
帰り道の万座峠から入った場所で『活殺士(敵のボス)を見上げる風組のシーン』の撮影です。
昨日までの戸隠での撮影は駆け足でいきなりラストシーンなどの佳境からの撮影だったので正直疲れました。
※撮影中、くさなぎさんがずっと食事の準備とかしてくれた。とにかく忙しい撮影現場では、こういう仕事が大変で大切。本当に感謝!

山道で車を止めて外で着替えてメークを始める風組の役者達。
このロケ地は山奥ではありますが、木々が生い茂っているというよりは岩肌が荒くむき出しになっていて、それが撮影場所として最適なので寄り道してきたのですが、当然着替えたり食事したりするような店とか場所はありません。
路上(山道)駐車をして、その周りで役者の皆には着替えたりメークしたりしてもらっていて、僕はというとその待ち時間を利用して実際の撮影現場を見ておこうと1人で道の先へと歩いて行きました。


なんとなくの目安はつけてあったものの、当日の現場の様子はまた変わっているかもしれないので、どの場所で何を撮影するか?を考慮しながらきょろきょろをあたりを見て回り、一通りの撮影プランの目途が立って「さあ、皆のところへ戻って連れてこようか」と振り返った時です・・・



今、自分が通ってきたばかりの道、帰り道のど真ん中に大きな馬のような動物が仁王立ちで立って、静かにジッとこっちを見ていたのです。
まるでずっと初めからそこに居たかのように静かに立って、吸い込まれるような静かな綺麗な瞳でこちらを見ていて、まるで山の神が僕に何かをまさに告げんとしているような神々しい雰囲気すら漂わせていました。
その印象(特に目)があまりにも強烈に残っていて、それ以外の細かい映像は記憶からとんでいます。
状況的に日本カモシカだったのだろうと思うので上のような絵はだいぶ違うハズなんですけど(本来はもっと丸くて小さくて汚い?)、自分の中に残っている残像はまさにこんなイメージなのです。
これまでの僕の中で野生動物のイメージというのは人間を恐れるので、人が来たら基本的には逃げていくものであり、お互いに気付かずに出会い頭でバッタリ出会っちゃったり子連れの母親に遭遇しちゃうと危ないけど、そうでなければ、まあこちらから仕掛けなければ襲われることはないと思っていました。
でもこの彼はたった今、僕が歩いてきた道の、しかも帰り道のど真ん中をふさぐようにして立ってこちらを見ています。
これはあまりにも想定外です。

※普通は左:人間を恐れて逃げまどうのが自然の動物
なのに彼は私の「後ろ!」通ってきた道の上に立っていた!これは私の理論ではありえなかった。
見た様子からは全然ビビっていないし・・・というかまるでこちらを見透かしているように澄んだ大きな瞳で僕を見つめています。
もう僕には逃げ道はないのです。
皆のところへ逃げるには山の神を超えていかなくてはなりません。
僕は緊張しながら、でもどうして良いかわからず、身動き一つできないまましばらく神様と見つめあってお互いに立ち止まっていました。
その後、もし彼がこっちへ向かって来たら多分やられる(何を?)のは間違いないと思ってました。
何しろわざわざ待ち伏せしていたかのように私の退路を断って現れたのですから。
でも「山の神」は急に「プイッ」と私に興味を失ったように静かに前を見ると、ドカッ!ドカッ!と山の斜面を下って木々の中へ入って消えてしまいました。

もちろんこんなセリフは言ってません! でも本当にこんなイメージ・・・。笑
この後すぐに皆のいる車の場所に戻り、一応「馬みたいのに出会った!」みたいな話はしたと思うんだけど(←記憶に無い)、もう時間が無くて忙しいし誰も相手にしてくれなかったのか、このお話も今まで誰とも共有できた事がありません。
これまで独りぼっちの思い出でしたが、制作日誌を書くことで多くの人とシェアできるのは良かったなぁと思います。笑
こうして人知れず監督だけが山の神と遭遇して「岩山を見上げる風組」のシーンは無事終了しました。
長かったような短かったような長野ロケがこれで無事に終了です!
東京へ戻りました。