1997-08-16(土) テスト撮影in千葉県の自然公園

八千代の森画像
ケン(高村)の車に発電機やライトや衣装を乗せて、千葉県八千代台(自然公園)へテスト撮影に行きました。

八千代台の自然公園というのは大きな団地のすぐ隣にる市民公園で、前作の短編作品「アトリエから(イメージ)」でも撮影時に利用して使い慣れてよく知っているのと、普通の街の施設が近い便利な場所の割には中に入ると本格的な森のようにうっそうとしているので「楓牙」の本撮影でもメインの撮影場所の1つでしたし、次作の「INGA!」でもかなり重用しました。

そしてこの日自然公園へ行ったのは、暗さに弱い8ミリフィルムに、8月2日に購入した発電機とライトの組み合わせがどれだけ有効かを調べるのが目的で、

「ライトを当てる事で森の中でどの程度写るか?」

「現像して白黒作品としてどうなるか?」

をテスト撮影する為です。

8ミリフィルム:

その前に、実は「8ミリフィルム」と一言で済ませていますが、実は同じ8ミリフィルムといってもいくつか種類があったので簡単に説明しておきます。

まず会社による規格の違いで「富士シングル8」(富士フィルム)と「スーパー8」(コダック社)の2種類が存在しました。
富士シングル8とコダックスーパー8の画像

左が「富士シングル8」のフィルムカセット 右は「コダック・スーパー8」のカセット

(もっと昔には「ダブル(レギュラー)」とかいう規格も存在したらしいですが、僕が高校生の時代位から既に聞いたことがない古いものです。僕も見たことがありません。)

この2つは製造会社が違う別規格ですので、それぞれ使用するカメラが違います。

今のデジタル世代の人は「iPhone」と「Android」は製造会社が違うから規格も違うし、だからソフトも共有されないのと同じイメージで考えてくれればわかりやすいと思います。

ただ、ここから少しややこしいのですが、撮影時には規格専用のカメラを使用しなくてはなりませんが、現像が終わったフィルム自体は同じ8ミリフィルムなので映写機はどちらも同じもので共有できます。

(1台の映写機があればどちらの規格の8ミリフィルムも映写が可能という事です)

それとフィルムは昼間に太陽光の下専用で撮影を行う「DAYタイプ」と、蛍光灯のなど人口灯の下専用で撮影を行う「タングステンタイプ」というものに分かれていました。

そして、それにも関係しますがフィルムにはISO(ASA)感度というものがあって、どのくらいの明るさだと撮影が可能かという目安があり、この当時はシングル8のフィルムだと感度に「25」と「200」の2種類ありました。

数字が大きい方が暗い場所でも写せるという指標になっているので(フィルムの明るさに対する感度が高い)、当然「200」の方が「25」より暗い場所でも撮影可能だという事です。

(※更にどんどんと複雑でわかりづらい話になってくるのですが、スーパー8のカメラというのは初めからDAYライト用のフィルタというのが内蔵されている事が多く、タングステンのフィルムを昼に使用するときには昼用フィルタを使用する必要があったりするのですが、もう訳がわからなくなるのでこの話は後で詳しく書ける機会があればそこで書きます)

※ちなみに10年くらい前にスピルバーグが作った映画で「スーパー8」ってタイトルの作品がありましたが、あれはこのコダックスーパー8の事です。劇中で主人公の少年たちがスーパー8で自主映画を創っている最中に事件が起こる事に起因したタイトルですね)

8ミリフィルムというのは僕が中学生くらいの頃から既に「メーカーが製造を中止する」という噂が流れては、コアなファンや映像関係者からの要望でしぶしぶ(?)メーカーが製造を続けるという状況が延々と続いていた製品でして、楓牙を撮影する際も正直一番怖かったのは「フィルムが突然製造中止で無くなってしまう」という事でした。

実際に「楓牙」の撮影を開始頃にはスーパー8の現像が日本国内から撤退されて海外現像(アメリカ)だけになっていました。

(そうするとフィルムの郵送日数がかかるので撮影から現像(フィルムチェック)まで何週間もかかってしまう)

僕は「楓牙」の前の作品「アトリエから(イメージ)」の時には実はスーパー8のカメラを使用していたのですが、日本での現像が行われなくなった事からスーパー8の方が先にこのまま無くなるのではないか?という危機感から、「楓牙」から富士シングル8に変更をしたという経緯があります。

(カメラも当然買い替えなくてはならなかったという事です)

なのでこの日の時点では富士シングル8用カメラのテストもしておきたかったし、フィルムが森でどの程度まで写るかのテストも必要だったのです。

あと、もちろんISO200の方が感度が良いのですが、その分画質が荒い(=表現が難しいですけど、もやっとして見づらい感じになる)ため、画質の良いISO25のフィルムを使って暗い森の中で昼間にどこまで映せるか?どちらの方が良いかのテストも必要でした。

結果として夜のシーンはわからないけど、森での撮影自体はなんとか可能であろうという事で、予定通り富士シングル8を利用して(可能な限りISO25で撮影して、どうしても暗ければISO200も使用)日程を進めることにしました。

刹那の夜画像

この時点では刹那のシーンはまだ夜の場面を想定していました。詳しくは1998年5月22日に書きます。

※この頃ようやくシナリオを2本ではなく単作の1本で完成させようと決めました。

でも僕は本作の基となった「其の裏」版ではなくて「其の表」版で撮影するつもりでいました。

「其の表」の方が個人的には映画として面白いと思ってました。